香水の裏側にある物語:あなたが知らない「喜びの木」チャンパカの5つの顔

今スリランカの会社とチャンパカホワイトABSのやりとりをさせていただいています。

チャンパカ(マグノリア属)はうっとりするほどいい香りですが香りだけでなく薬としても有用。よくみる産地はインドや南のほうの中国、タイ、インドネシアなど。あったかいところです。

チャンパカについて深く調べていくと、ネパールの記事にあたりました。

ネパールって高地であったかい感じがしないしいままでネパール産のチャンパカにであえたことがないので興味深くよんでいきました。

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世界で最も愛されている香水のいくつかは、うっとりするような官能的な香りで知られています。その香りの源が、一本の木にあることをご存知でしょうか。ヒマラヤ山脈の東側、ネパールでは標高450メートルから1500メートルの高地に自生するその木の名は、ミケリア・チャンパカ(Michelia champaca)。その黄金色の花は、世界中の人々を魅了する香りを放ちます。

しかし、この美しい香りの背後には、薬、法的な駆け引き、そして複雑な保護活動の課題といった、驚くべき物語が隠されています。多くの人がその芳香だけを知っていますが、この木の真の価値は、香水の瓶をはるかに超えたところにあります。この記事では、この注目すべき木が持つ、最も意外で重要な5つの顔を明らかにしていきます。

1. 「喜びの香水」の木:単なる美しい香り以上の存在

この木は「喜びの香水の木(Joy Perfume Tree)」として世界的に知られています。その名が示す通り、うっとりするような天上の香りは、世界で最も人気のあるコロンのいくつかを生み出すために使われているのです。その花は黄金色がかった黄色で、非常に強い芳香を放ちます。


しかし、別の土地では「イエロージェイドオーキッドツリー(黄玉蘭の木)」とも呼ばれ、まるで貴重で自然な芸術品のような風格を漂わせています。これらの名前は単なるラベルではありません。それは、この木に向けられた深い文化的敬意への窓であり、私たちがこれから探求する謎をさらに深めてくれるのです。その香りが最も有名な特徴であることは間違いありませんが、それはこの木の物語のほんの始まりに過ぎません。


2. 驚くべき多目的性:香水から合板、民間薬まで


チャンパカは、木材、葉、花、種子に至るまで驚くほど広範な用途を持つ「多目的樹木」です。その存在は、一つの矛盾をはらんでいます。これほどまでに価値があるからこそ、人々に求められ、そして脅かされてきたのです。


* 木材 (Timber): 家具、彫刻、そして紅茶箱用の合板、梱包ケース、さらには鉛筆の製造にも適した優れた木材です。

* 燃料 (Fuel): 心材は高い総発熱量(21,070 kJ/kg)を持ち、薪として利用されます。つまり、非常に効率よく燃えるため、貴重な燃料源となるのです。

* 飼料 (Fodder): 葉はカイコの飼育に使われます。

* 薬 (Medicine): 伝統医学で広く利用されてきました。さまざまな部位が抗炎症、解熱、下剤、利尿の目的で使われます。例えばマレーシアでは、樹皮の煎じ薬が出産後の回復薬として用いられ、ミャンマーでは花がハンセン病の治療に使われるなど、その薬効は文化と深く結びついています。

* 特筆すべき研究 (Notable Research): 枝から抽出されたリリオデニン化合物が、ヒトの乳がんおよび肺がん細胞に対して強力な阻害剤であることが発見され、現代医学の分野でも注目を集めています。


3. 法的なジェットコースター:保護から伐採許可へ


これほど有用な木であれば、手厚く保護されていると考えるのが自然でしょう。しかし、ネパールにおけるこの木の法的な歴史は、驚くべき変遷を遂げてきました。


1995年、ネパール政府はミケリア・チャンパカを「絶滅の危機に瀕し、消えゆく樹種」とみなし、その伐採、輸送、輸出を全面的に禁止しました。これは貴重な種を守るための当然の措置でした。ところが、驚くべきことに、この禁止措置はわずか12年後の2007年に解除されたのです。


この政策転換の背景には、画一的な禁止から、地域社会が管理する持続可能な利用へと舵を切るという考え方がありました。現在の状況では、コミュニティ林の承認された運営計画の一部であれば、この種は他の一般的な樹木と同様に合法的に収穫できます。その現実を裏付けるように、ある報告書は次のように述べています。


「ラムジュン郡森林事務所の年次進捗報告書によると、チャンパはコミュニティ林利用者グループ(CFUGs)で販売された木材の中で3番目に多く(498.78 cft)、私有地では最も多く(2768.56 cft)販売された(DFO Lamjung 2016)。」 (cftは立方フィートを意味する木材の体積単位)


4. 繁殖の難しさ:開花まで10年、または2年?


商業的価値が高く、合法的に伐採できるのなら、植林すればよいと考えるかもしれません。しかし、チャンパカの木の繁殖は驚くほど困難です。自然界での再生は稀で、種子は発芽率が低く、すぐに発芽能力を失ってしまいます。


特に注目すべきは、開花までの時間です。種子から育てた木は、あの芳しい花を咲かせるまでに10年もかかることがあります。これとは対照的に、接ぎ木から育てた木は、わずか1~2年で開花することができます。


なぜこれほど劇的な差が生まれるのでしょうか? それは、接ぎ木が生物学的な「近道」だからです。成熟した木から組織を採取することで、植物は種から始まる長い幼年期を飛び越え、すでに開花するようプログラムされた状態から成長を始めることができるのです。この種を大規模に栽培するためには、組織培養といった高度な科学技術が不可欠であり、その繁殖がいかに人の手を必要とするかを物語っています。


5. 保護活動の厳しい現実:生存率わずか17%という謎


保護活動家にとって、木を植えることは希望を植える行為です。しかし、ハリオ・バン・プログラムによるチャンパカの植樹活動の物語は、その希望がいかに脆く、たやすく枯れてしまうかを物語る、厳しい教訓となっています。その数字は、あまりにも過酷で受け入れがたいものです。


このプログラムでは、ネパールの5つの郡に合計225,000本ものチャンパカの苗木が生産・植樹されました。しかし、3年後に行われた最終評価で明らかになったのは、平均生存率がわずか17%という衝撃的な結果でした。


報告書では、この「非常に低い生存率」の主な原因として、以下の点が挙げられています。


* 不適切な植栽地の選定

* 保護措置の欠如(放牧や火災からの保護)

* 不適切な植栽方法

* 地域社会による所有者意識の欠如

* 管理体制の弱さと技術的専門知識の不足


結論


ミケリア・チャンパカは、美しい香水の原料であるだけでなく、商業、文化、法律、科学、そして生態学が交差する、非常に複雑な存在です。その物語は、一つの植物がいかに多くの側面を持ちうるかを私たちに教えてくれます。


その計り知れない価値(第2の顔)、複雑な法的地位(第3の顔)、そして繁殖の難しさ(第4の顔)を総合的に理解しないまま進められた善意の保護活動は、なぜわずか17%の成功しか収められなかったのか(第5の顔)。その失敗は、単なる技術的な問題ではありませんでした。この木の生物学的、経済的、そして社会的な文脈全体を見誤った結果だったのです。


この木の計り知れない価値と文化的重要性を考えると、保全活動の意外な失敗は、私たちに何を教えてくれるのでしょうか。それは、地球上で最も貴重な天然資源を保護するための私たちのアプローチについて、深く考えさせられる問いかけです。

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